ジム=筋トレだけではありません。筋肉を鍛える前に大切な「正しい身体の動かし方」
監修:ライトジム運動科学チーム
本記事は、健康づくりに関する情報提供を目的としています。痛みや持病などがある方は、運動を始める前に医師等の専門家へご相談ください。
「ジムに行く=重いものを持って筋トレをする」
そんなイメージを持っている方は少なくありません。
「筋トレはきつそう」
「運動経験がないからジムには行きにくい」
「筋肉を大きくしたいわけではないので、ジムに行く必要はないのでは?」
そう考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、健康のための運動は、必ずしも重い重量を使った筋トレから始める必要はありません。
特に運動習慣が少ない方にとっては、まず自分の身体をどのように動かすのかを知り、正しい動作を身につけることが大切です。
身体を動かすためには、筋肉だけでなく、脳や神経系も働いています。
今回は、筋肉を鍛えることだけではない「身体を動かすための運動」について解説します。
筋トレの前に「身体を正しく動かす」ことが大切な理由
運動というと「筋肉を鍛えること」をイメージしがちですが、身体を動かすためには、まず脳から筋肉へ適切な指令を出し、複数の筋肉を協調させる必要があります。
例えば、椅子から立ち上がるという簡単な動作でも、
- 足で床を押す
- 膝を適切に動かす
- 股関節を使う
- 上半身を起こす
- 身体のバランスを保つ
といった複数の動きが組み合わされています。
つまり、「筋肉がある」だけでは、身体を上手に動かせるとは限りません。
運動には、脳から筋肉へ適切な指令を出し、
「筋肉が弱い」だけではなく、「動かし方が分からない」
運動をしていない方から、
「スクワットをしても、どこに力を入れればいいのか分からない」
「肩を動かそうとしても、うまく動かせない」
「背筋を伸ばそうとしても、すぐ元に戻ってしまう」
といった声を聞くことがあります。
これは単純に筋力が不足しているとは限りません。
普段あまり使っていない身体の部分は、動かす経験そのものが少なくなっています。
身体を動かす経験を重ねることで、脳や神経系が動作に適応し、身体の使い方を学習していきます。
運動学習では、動作を繰り返し練習することで、身体の協調や運動の効率が変化していくことが知られています。
また、筋力トレーニングを始めた初期には、筋肉そのものが大きくなる前から筋力が向上することがあります。
研究では、筋力トレーニング開始後の最初の数週間から、筋肥大だけでは説明できない筋力向上や神経系の適応が確認されています。神経系の適応には、運動単位の動員や発火など、筋肉を働かせるための神経系の変化が関係すると考えられています。(PubMed)
つまり、運動の効果は「筋肉を大きくすること」だけではありません。
身体を動かすための神経系の適応や、動作を学習することも、
「神経促通」とは?
「神経促通」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
簡単に言えば、身体を動かすための神経系の働きを適切に引き出し、身体の動かし方を学習していくことをイメージすると分かりやすいでしょう。
例えば、普段あまり動かしていない筋肉を使う動作を行うとき、
「この筋肉を使ってください」
と頭で意識することがあります。
実際には、脳からの指令によって神経を介して筋肉が活動し、複数の筋肉が協調して動作を作っています。
最初はぎこちなかった動作でも、適切な動作を繰り返すことで、徐々に身体の使い方を覚えていくことがあります。
そのため、運動初心者の場合、
いきなり重い負荷をかけるより、まず正しい動作を覚えること
が重要になる場合があります。
神経系の変化は、どのくらいの期間で起こるのでしょうか?
ここで注意したいのが、「神経促通」という言葉から、1回の運動を行えばすぐに神経系が大きく変化するように受け取らないことです。
運動を行っている最中にも、脳からの指令によって筋肉が活動し、動作を調整しています。
しかし、トレーニングによって神経系が適応し、
研究では、筋力トレーニングによる神経筋の適応は比較的早期から現れ、おお
つまり、
1回の運動=神経促通が完成する
ということではありません。
「動作を理解する」
↓
「正しい動作を繰り返す」
↓
「脳・神経系がその動作に適応する」
↓
「よりスムーズに身体を動かせるようになる」
という積み重ねが大切です。
そのため、運動初心者の方には、最初から高重量を扱うことよりも、正しい動作を繰り返し経験する
神経系の適応は、年齢に関係なく起こります
「神経系の働き」というと、若い人だけのものだと思われるかもしれません。
しかし、運動による神経系の適応や運動学習は、
実際に、高齢者を対象とした研究でも、筋力トレーニングによって筋活動や神経筋機能に変化が生じることが確認されています。2022年のシステマティックレビュー・メタ解析では、高齢者の筋力トレーニングによって最大筋力、力を発揮する速さ、筋活動が改善し、2〜12週間程度の介入でも神経筋の適応が確認されています。(Pu
また、2021年のレビューでも、高齢者における筋力トレーニングによる神経適応について一定のエビデンスがあるとされています。(PubMed)
さらに近年の研究では、70歳前後の高齢者でも4週間の筋力トレーニングによって運動単位の適応が確認されており、年齢を重ねても神経・
年齢を重ねると、若い頃と比べて運動学習や身体機能に違いが生じることはあります。
しかし、
「年齢を重ねたら身体の動かし方を新しく覚えられない」
今の身体に合わせた適切な運動を繰り返すことで、身体の使い方を学び、運動機能を高めていくことは可能です。
もちろん年齢や体力、これまでの運動経験などによって変化の程度には個人差があります。
それでも、運動を始めるのに「遅すぎる」ということはありません。
もちろん筋力トレーニングそのものにも大きな健康上のメリットがあります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、筋力トレーニングを含む身体活動が推奨されています。
大切なのは、筋トレか動作練習かという二者択一ではありません。
身体を上手に動かすことを覚え、
このように段階的に考えることが大切です。
正しい姿勢を「意識する」ことにも意味があります
「姿勢を良くしましょう」と言われても、具体的にどうすればいいのか分からないことがあります。
背中を無理に反らしたり、胸を張ったりすることだけが正しい姿勢ではありません。
大切なのは、自分の身体がどのような位置にあり、どのように動いているのかを知ることです。
例えば、
- 立っているときの足の位置
- 骨盤の位置
- 背中や肩の位置
- 首の位置
- 身体の左右差
- 歩くときの身体の使い方
などを意識するだけでも、自分の身体について考えるきっかけになります。
最初は意識しなければできなかった動作も、繰り返すことで徐々に自然に行えるようになることがあります。
これも運動を「学習する」という考え方の一つです。
普段動かしていない身体を動かしてみましょう
健康のための運動は、必ずしも「限界まで追い込む」必要はありません。
まずは、普段あまり動かしていない身体の部分を動かしてみましょう。
例えば、
① 肩や背中を動かす
肩をゆっくり回したり、腕を上げたり下げたりして、肩甲骨周辺を動かしてみましょう。
② 股関節を動かす
椅子から立ち上がる、ゆっくりしゃがむなど、日常生活でも使う動作を丁寧に行ってみましょう。
③ 片足立ちなどでバランスを意識する
安全な場所で、身体がどのようにバランスを取っているのかを感じてみましょう。
④ 「どこを動かしているか」を意識する
ただ回数をこなすのではなく、
「今、どこが動いているのか」
「身体がどちらに傾いているのか」
などを意識してみましょう。
運動は「何回やったか」だけではありません。
自分の身体を理解しながら動くことも、運動の大切な要素です。
実際にライトジムの会員からも、こんな声があります
ライトジムでは、これまで運動習慣がなかった方や、ジムを利用した経験が少ない方にもご利用いただいています。
最初は、
「身体をどう動かせばいいのか分からない」
というところから始まる方もいます。
スタッフから動作を教えてもらいながら身体を動かし、
「この動きならできる」
「ここを意識すると身体が動かしやすい」
と少しずつ身体の使い方を覚えていく。
姿勢を意識するようになったことで、自分の身体の状態に気づくようになったという声もあります。
また、
「身体を動かすようになってから、
という声もあります。
※体調の変化には個人差があります。
こうした変化は、単に「筋肉がついた」ということだけではありません。
自分の身体を知り、動かし方を覚え、身体を動かす習慣ができていく。
その積み重ねも、運動を続ける大きな意味の一つです。
ライトジムは「筋トレだけをする場所」ではありません
ライトジムでは、筋肉を鍛えることだけを目的にしていません。
運動経験が少ない方には、
まず身体を動かすことに慣れること。
そして、
正しい動作を覚え、
その上で、必要に応じて筋力や体力を高めていくことを大切にしています。
「ジムに行ったら重いものを持たなければいけない」
「筋トレをしないとジムに行く意味がない」
ということはありません。
健康のための運動には、歩く、身体を動かす、バランスを取る、姿勢を意識する、筋力を高めるなど、さまざまな方法があります。
WHOも、身体活動を筋力トレーニングだけに限定せず、日常生活の歩行や移動などを含む「身体の動き」として捉えています。また、成人には有酸素活動に加えて、主要な筋群を使う筋力強化活動も推奨しています。
だからこそライトジムでは、
「筋トレを頑張る」ことだけではなく、「
運動経験がない方こそ、まずは身体を動かすことから
「運動した方がいいとは思っているけれど、何をすればいいか分からない」
そんな方は、いきなり高重量の筋トレを始める必要はありません。
まずは身体を動かしてみる。
自分の姿勢や動きを知る。
普段あまり使っていない身体の部分を動かしてみる。
そして、できるようになったら少しずつ運動の幅を広げていく。
その先に、筋力トレーニングがあります。
筋トレは「筋肉を大きくするためだけのもの」ではありません。
自分の身体を思い通りに動かし、
そして、これは年齢に関係なく始めることができます。
「もう年だから」と諦めるのではなく、今の身体に合わせてできることから始める。
それが、これからの身体を維持するための第一歩になります。
「ジム=筋トレ」というイメージで一歩を踏み出せなかった方も、まずは身体を動かすところから始めてみませんか?
ライトジムでは、運動初心者の方をサポートしています
ライトジムは、運動経験が少ない方でも無理なく運動を始められることを大切にしています。
「何をすればいいのか分からない」
「マシンの使い方が分からない」
「正しい動きができているか不安」
という方にも、スタッフが身体の動かし方を分かりやすく案内します。
いきなり重い負荷をかけるのではなく、まずは自分の身体を動かすことから。
毎日続けられる健康習慣を、ライトジムから始めてみませんか?
体験はこちらから
ライトジムでは、運動初心者の方の体験利用も受け付けています。
「ジムに行ったことがない」
「筋トレは苦手」
「健康のために何か始めたい」
という方も、まずはお気軽にご体験ください。
ライトジムで、自分の身体を動かすことから始めてみませんか?
監修
本記事は、運動・健康に関する専門知識を持つスタッフが、運動初心者の方にも分かりやすい内容になるよう監修しています。
参考文献・情報源
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- World Health Organization. WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour. 2020.
- World Health Organization. Physical activity.
- National Strength and Conditioning Association. Time Course of Physiological and Anatomical Changes.
- Carroll TJ, et al. Neural adaptations to resistance training: implications for movement control.
- Siddique U, et al. Determining the Sites of Neural Adaptations to Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine. 2020. (PubMed)
- Siddique U, et al. Determining the cortical, spinal and muscular adaptations to strength-training in older adults: A systematic review and meta-analysis. Ageing Research Reviews. 2022. (PubMed)
- Walker S. Evidence of resistance training-induced neural adaptation in older adults. Experimental Gerontology. 2021. (PubMed)
- Casolo A, et al. Ageing does not impair motor neuron adaptations: comparable motor unit responses to strength training in young and older adults. Journal of Physiology. 2026. (PubMed)
